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まるで自分の動きを先読みされたかのようなテレアの動きに、一瞬とは言え動揺してしまったレリスは隙を見せてしまった。
そこからはもう本当に一瞬だった。
テレアの突進の勢いを生かした、お得意の低姿勢のスライディングがレリスの右足を捕らえた。
「なっ!?」
「テレア、一ポ―――」
俺が宣言するよりも早く、急停止したテレアが立ち上がりながらも、その反動を利用した背中から当たる体当たり―――鉄山靠をバランスを崩したレリスにお見舞いした。
「ああっ!!」
バランスを崩していたところに体当たりをされたレリスが横ばいに倒れた。
「てっテレア、二ポ―――」
俺の宣言など知ったことかと倒れているレリスに追撃を食らわせるべく、テレアがダッシュで詰め寄っていく。
そして―――
「はい……テレアの勝ち」
そう言ってテレアがレリスのおでこにコツンと小突いた。
その光景に周りが呆気に取られて、静まり返る。
「えっと……合計三ポイント!勝者テレア!!」
俺が高らかに宣言すると、周りから歓声と拍手が沸いた。
「やるなぁ!あのお嬢ちゃん!!」
「どっちも凄かったぞ!!」
「いいもの見せてもらったわー!!」
別に君たちに見せるためではないのよ?
まあ他の冒険者もいる街道の休憩スペースでこんな派手な模擬戦してれば、いやでも見物客が集まるのもしかたないか。
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