試合~高次元のやりとり~

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 やがて見物客たちは口々に今の模擬戦の感想を言いながら自分のキャンプへと戻っていった。 「……最後あっという間でしたね」 「……テレア凄かった」  もうちょっと長引くのかな?と思ったら本当にあっという間に終わってしまって拍子抜けしたくらいだ。 「えっと……大丈夫レリスお姉ちゃん?」 「ええ、大丈夫ですわ」  差し出されたテレアの手を取り、レリスが立ち上がる。 「二人ともいい勝負だったな」 「いえ……はっきり言って勝負にすらなってませんでしたわ。終始テレアちゃんの思い通りに事を運ばれてましたので……」 「え?そうなんですか?最初はレリスさんが押していたように見えたんですけど?」  俺にもそう見えたんだけど、戦っていた本人からすればどうやら違うらしい。 「何と言いますか……序盤はテレアちゃんの素早い動きに慣れるために回避中心で動いて隙あらば攻撃をしていましたが、あれはわたくしがテレアちゃんの動きに慣れたのではなく、慣れたと思い込まされていたのですわ」  つまり、レリスの油断を誘うためにわざと少しづつ動きを遅くして、動きに慣れたと思い込まされたわけか。     
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