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この暗い中本を読むとかどうなの?と思ったが、焚火の明かりは思ったよりも明るく、月明りも手伝って本を読むくらいなら支障のないレベルだった。
「というか見張りしてもらってごめんね?」
「構いませんわ!そもそもわたくしから言い出した事なのですから、どうぞお気になさらずに!」
盗賊から助けてもらったことによほど恩義を感じているらしく、今日は馬車を引くことはもとより飯まで作ってくれて、こうして見張りまでしてくれた。
いくら恩を感じてくれてるとはいえ、ここまでしてもらえると逆にこちらが恐縮してしまう。
恩を売ったからと言って、それを笠に着るようなことはしたくもないし、するつもりだってないのだ。
「あの場でシューイチ様とテレアちゃんに助けていただいてなければ、今こうして本を読んでいることなどできませんでしたから」
もしあの場でレリスが盗賊の不意打ちを受けて負けていたらと考えると、ゾッとするな。
そう考えるとレリスがここまで恩義を感じるのも頷けてしまう。
「とりあえず見張りは変わるから、レリスは休んでいいよ?」
「えっと……シューイチ様、もし良ければ少しお話しませんか?」
「ん?別にいいけど……?」
眼が冴えてしまっているのだろうか、レリスがそう言ってきたので俺は快く快諾した。
「シューイチ様は、わたくしの素性に気がついてますよね?」
「まあ……ね」
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