気配~月明りの監視~

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 エナ曰く、レリスはエレニカ財閥のお嬢様だそうだ。  この世界のことをまだよく知らない俺からすれば、異世界の財閥のお嬢様なんて言われてもピンとこないのだが、普通に考えたらこうして気軽に話せるような身分の子じゃないんだろうなぁ。  というかあまりにもフランクに接してくれるので、本当にお嬢様なのかと疑いたくなってしまう。 「てっきりもっとそのことを追及されるとばかり思っていたのですが」 「追及してもいいの?」 「答えられる範囲でありましたらいくらでも」  そう言ってレリスが上品に微笑む。  さっきはお嬢様なのかと疑ってるなんて思ったが、こういう何気ないしぐさがお嬢様然としてるよなぁ。  エナも魅力あふれる子だけど、レリスはまた違った魅力を持ってる女の子だ。 「それじゃあ聞いてもいいかな?」 「どうぞなんなりと」 「なんであんなに料理上手なの?」 「え?……料理は趣味なので、気が付いたら上手になっておりましたわね」 「そっか」 「はい……」  レリスの料理美味かったもんなぁ……エルサイムに着くまであと2日くらい掛かるからまた明日頼んで作ってもらおうかな?  もちろんフリルのキャンプ料理だって美味しかったぞ?     
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