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牛乳に伸ばした手を止めて、テレアが俺とエナに交互に視線を送る。
「宿屋のエナの部屋で留守番するか?」
実際のところ、テレアの状況はあまりよくないと言えるかもしれない。
テレアが何で追われてるのか知らないが、このまま宿屋に一人残るのも俺たちに付いてくるにしても、どちらを選んでも危険が付きまとう。
恐らくテレアを追っている連中は昨日の一件でテレアがこの町にいることを知っているだろうから、仮に宿屋で一人留守番したとしても人海戦術で宿屋をしらみつぶしに探されたらアウトだ。
それなら俺たちと一緒にいれば相手も手を出しづらいかも……と思ったが、昨日のあのズッコケ三人組の様子を見るに俺たちがいても関係なしだったことから、テレア的にはどちらを選んでも危険度は変わらないだろう。
それならテレアに選んでもらった方がいいと、俺とエナは互いに話し合って判断した。
もし仮にテレアがどちらも選ばず一人出ていく選択をするなら、それなら仕方ないが……。
「テレアは……一人はいや……」
「じゃあ俺たちと一緒に行動するか?」
「うん、テレアはお兄ちゃんたちと一緒がいい」
その答えに俺は安堵した。
どちらを選んでも……なんて言ったが、俺たちの目の届く範囲にいてくれたほうがやはり安心できる。
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