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「なら俺とエナが協力したとしたらどうだ?」
俺のその言葉に、テレアが目を伏せて考え始める。
時間にして10秒ほど悩んだ末、テレアは顔をあげた。
「それでも相手のほうがほんのちょっと上だと思う」
ほんのちょっとね……多分それは嘘だな。
テレアの様子を見るに。おそらく俺たちと追跡者の間には相当な力の差があると思う。
だが力の差があるからと言ってそれが直接勝敗に直結するかというとそうではない。
相手は一人のようだし、一対三という状況を最大限に活用させてもらおう。
「よし、なら迎え撃とう」
「私たちが三人がかりでも相手のほうが強いのにですか?」
「別に無謀な戦いをしようってわけじゃないよ、おそらくだけどなんとかなるはずだし」
「なんの根拠があって……」
エナの表情が不安で彩られる。
「ちゃんと勝算があってのことだって!」
「本当ですか?」
「今から作戦を説明するから歩きながら聞いてくれ……」
二人に作戦を説明しながら、人通りの少ない道を選んで行く。
人通りが少なくなってくるにつれて、追跡者の気配が段々と濃厚になり俺にもはっきりと感じ取れるようになってくる。
もう隠す必要はないってことなんだろうな……だがそれはこちらも同じだ。
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