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槍による突きを身体をそらすことで回避したテレアは、サイドステップで相手の死角へと入りこむ。
だがそれを読んでいたとばかりに男は槍を薙ぎ払うが、テレアは低い身長を生かししゃがむことで回避し、バックステップで距離を取った。
「ふむ……子供だと思っていたがやはりあの二人の娘ということか」
槍を構えなおし、感心したように男が呟く。
今の一瞬の攻防だけでテレアの技量を見抜いたんだろう。
「見てるだけで息が詰まるんですけど……」
「気持ちはわかるけど絶対に目を離すなよエナ?」
呟いたエナに俺が注意を促す。
男がそんな俺たちに一瞥をくれたが、すぐにテレアに向き直る。
俺たちのことも警戒はしてるようだがテレアに比べると優先度は低いみたいだ。
それならそれでこちらにとっても好都合だけどな。
男が再び動き、手にした槍で無数の連続突きを繰り出す。
対するテレアは、それを身を捻りかわし、時には受け流しつつさばいていく。
均衡を保っているように見える攻防だが、次第に技量の差が浮き彫りになってきた。
「……っ!」
放たれた槍がテレアの髪を掠ったのだ。
だがテレアはそれに焦った様子もなく、相手の突きを冷静にさばいていくものの、少しずつ劣勢へと追い込まれていく。
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