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少し前に相手の尾行に気が付いていたテレアは、相手の獲物が槍であることを確認していた。
技量で劣ることがわかっていたので、普通に相手に勝つことを諦めて戦力を奪うことを重点を置いたのだ。
危険を承知でテレアには前線に立ってもらい防御に徹することで相手を観察し、こちらでなんとか隙を作り一気に武器破壊へと繋げることができた。
昨日のうちにあらかじめエナが使える魔法を詳しく聞き、かつ今の俺にもできる簡単な魔法を教わっておいて良かった……それがなかったらこの作戦は立てられなかった。
「ふむ……油断したわけではなかったんだがな」
男が立ち上がり俺とテレアを交互に見る。
「残念だが槍がなければ俺は戦えん、依頼は失敗だな」
フッと笑い男は踵を返し、俺たちの前からあっさりと立ち去ったのだった。
これはなんとなくなんだが、おそらく俺たちは見逃されたのだと思う。
「……ぶっはああぁ!」
大きく息を吐きだした俺は、思わず地面にへたり込む。
死ぬかと思った!まったく生きた心地がしなかった!!こんなこと繰り返してたらいつか絶対死ぬって!!!
今になってやっぱり全裸になって問答無用でぶっ飛ばしておけばよかったと思ってしまった。
「お兄ちゃん大丈夫?」
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