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テレアがしゃがみ込み、地面にへたり込んだ俺を心配そうな瞳で見つめる。
「俺なら大丈夫だよ。テレアこそ怪我してないか?」
「テレアも大丈夫……エナお姉ちゃんが守ってくれたから」
「いや~うまくいって良かったですね!」
ほんとそうだよ……大まかな作戦は立てたものの、最終的には各々の判断に任せる形だったから、不安はもちろんあった。
あそこで俺の魔法が発動しなかったら……エナの防御魔法が間に合わなかったら……何か一つでも欠けていたら俺たちは確実に負けていて、きっとテレアはあの男に連れ去られていただろう。
それほどまでに俺たちとあの男の間には力の差が存在していたのだ。
「まあとにかく……ありがとうテレア、よく頑張ったな」
言いながら俺は、この戦いの一番の功労者であるテレアの頭を優しくなでた。
戦いが終わり気分を落ち着けた俺たちは宿へ戻るべく歩を進める。
その間、うつむき終始無言だったテレアが意を決したように顔を上げ―――
「二人にちゃんと話すね……テレアのこと」
と言ったのだ。
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