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以上の事が、時々言葉に詰まりつつ、要領も得ないたどたどしい口調で、テレアが一生懸命語ってくれた真実だった。
「どこへ行っても、貴族というものは自分たちのことしか考えてないんですねぇ……」
話を聞き終わったエナが、ため息とともにそう吐き捨てる。
なんだろう?貴族関連で何か嫌なことでもあったのかな?
それしても、テレアが英雄とまで呼ばれたシルクス夫妻の娘という話を聞いたときに今のテレアの状況について仮説を立てたんだが、細かいところに違いはあれど大体想像していた通りだった。
テレアを誘拐したことにより、リドアード家はシルクス夫妻への脅迫に使える最大の武器を手に入れたことになる。
シルクス夫妻はテレアの生死を盾にされることにより、おそらく自由に動くことができなくなってるはずだ。
これは思った以上に事態は深刻なのかもしれない。
「なんで武器屋で俺たちと会った時に助けを求めてくれなかったんだ?」
実は兼ねてより疑問に思っていたことをテレアに尋ねる。
「……テレアはその……知らない人とお話しするの怖くて……」
そんな理由かいっ!
と思わず突っ込みそうになったが、それが原因で見知らぬ土地で誰にも助けを求めることも出来ず、たった一人で逃げ回っていたテレアの心境を思うと、とてもじゃないけどそんなこと言えなかった。
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