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「さて、問題はこれからどうするかだな」
ひとしきり泣きはらし、ようやく落ち着いたテレアとその隣に座るエナに向けて俺は言った。
「恐らくなんだけどまだテレアの両親には、テレアに逃げられたことが伝わってないと思う。その証拠がさっき戦ったあの槍の男だ」
あんな強い奴を使ってまでテレアを取り戻そうとしてることが何よりの証拠だ。
テレアに逃げられたなんてシルクス夫妻に知られてしまったら、自分たちの優位性なんてあっという間になくなってしまうからな。
「それとこの宿ももう引き払った方がいいだろうな。十中八九テレアがここにいることもばれてるだろうし、俺とエナの面も割れてると思う」
「まあそうでしょうね……」
これについてはエナもそう思っていたようで、俺の意見に同意を示してくる。
「ごめんなさい、テレアのせいで」
「良いんですよテレアちゃん、どうせ私たちは冒険者ですから!本来ならよほど長期の仕事でもない限り一か所に留まり続けるなんてないんですから」
謝るテレアの頭をエナが優しくなでる。
「それらを踏まえて俺たちはこれからどうするかを考えないといけないんだ。俺としてはテレアを、ひいてはテレアの両親を助けたいと思ってる」
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