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俺の言葉を聞いたテレアが泣きはらし真っ赤になった眼を向けてくる。
「エナはなんで誘拐されたテレアが国外であるこのライノスまで連れてこられたと思う?」
「え?えっと……マグリド国内だとシルクス夫妻にテレアちゃんを見つけられてしまうかもしれないから……ですかね?」
「うん正解。じゃあ次にエナだったらテレアが自分の手元にいることを仮定して、どうやってシルクス夫妻を始末する?」
「なんですかその質問」
エナが微妙に嫌そうな顔をする。
「えっと……テレアちゃんを餌に二人をこちらに呼び寄せて、抵抗できないところを……とか?」
「半分正解かな。こちらに……ライノス国までおびき出してそこで始末してしまったら、多分国交問題に発展すると思う」
「それはいくらなんでも大げさでは……?」
「シルクス夫妻は王直々の勅命でご意見番にまでなった、マグリドの英雄だろ?その二人がライノス国で死体として見つかったら、俺だったら真っ先にこの国を疑うね」
確かに大げさかもしれないが、物事ってのは常に最悪のケースを想像して、そうならないように計画を進めていくものだ。
いくらリドアード家が強硬派といえど、そこまでの展開を望んでるわけではないだろう。
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