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転生~ただし全裸~
人間一度は、自分の死にざまを想像したことくらいあるはずだ。
病気?
交通事故?
それとも…殺人?
最愛の人に看取られて死ぬこともあるだろうし、誰にも知られずひっそりと死ぬこともあるだろう。
もしかしたら、歴史に名を残すような死に方をするかもしれない。
……とまあ、こんなのは始めて5分も経たないうちにバカバカしいと切って捨てるような想像だ。
5分……もっと極端な話、1秒先の未来すら誰にもわからないんだから考えるだけ無駄というものだ。
せめて死ぬなら普通に死にたいねぇ。
……そう思っていたんだけどなぁ。
「これはないわー」
風呂で身体を洗い、湯船につかろうと立ち上がった途端足を滑らせ、風呂の淵に頭をぶつけて気を失い、そのまま頭から湯船につっこみ……。
気が付いたら、俺は自分で自分を見下ろしていた。
正真正銘の溺死だ。それ以外の何物でもない。
下半身を露出したまま、湯船に頭から突っ込んでいる自分を客観的に見ることが、こんなにも情けないとは夢にも思わなかった。
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