1109人が本棚に入れています
本棚に追加
/2563ページ
訪問~昼下がりの奥様と~
エルサイムへの遠征を2日後に控えたある日のこと。
「ごめんくださーい」
シルクス邸を前に俺は大声で呼びかける。
こういうとき携帯があれば直接本人に連絡取れるんだけど、生憎この世界にはそんなものはないのだ。
でもあの三人組はリドアードと何かしらの手段で連絡を取っていたみたいだし、もしかしたらそれに似た何かはあるのかもしれない。
気軽に買えて使えるものでもないかもしれないが、いつか探してみるのもいいかもな。
「ごめんなさい、出るのが遅れてしまって……あら?シューイチさん」
そんなことを考えていると、テレアのお母さんのリリアさんが俺を出迎えてくれた。
今日も相変わらずの美人さんである。
「こんにちは、テレアいますか?」
「あの子今おつかいに行ってて……でももうすぐ帰ってくると思いますから家の中でお待ちになってくさださいな」
テレアがいないなら帰ろうと思っていたがすぐ帰ってくるとのことなので、折角だから家の中で待たせてもらうこととなった。
家の中に通されて周囲を見回すが、どうやらヤクトさんはいないみたいだ。
「お茶いりますか?」
「ああいえ、お構いなく」
最初のコメントを投稿しよう!