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懇願~早朝の出待ち~
結局大騒ぎになってしまったことで、国の憲兵団が駆け付けてきたものの、一座の団員たちがもっともらしい適当な言い訳を並べ立て誤魔化したおかげで、疑問を浮かべながら憲兵団は帰っていった。
無事に騒ぎも収束したので、俺たちは再び仮設宿舎のルーデンスさんの部屋へと戻って来た。
ラフタさんが事件の顛末を話し終わった後、ルーデンスさんは俺たちに向き直り再び頭を下げたのだ。
「フリルに続いてあの二匹のことと言い、お前さん方には迷惑をかけたようで……一座を代表してお礼する、ありがとう」
「まあとにかく、何事もなくてよかったですよ」
俺の言葉を受けてルーデンスさんが顔を上げるも、複雑な表情を浮かべていた。
少し考えるそぶりを見せたあと、ルーデンスさんが口を開く。
「今回の件、どう思うかの?」
「人為的に引き起こされた事件ですね、間違いないです」
ルーデンスさんの言葉を受けて、エナがこれ以上にないくらい力強く断言した。
「犯人は……言うまでもないか」
「はい、先程のあの人でしょうね」
あのキザ男以外に誰だというのか。
最悪アイツじゃないにしろ、おそらくはアイツの関係者……カルマ教団の仕業だろう。
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