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別離~油断は大敵~
特に何かと遭遇することもなく、危なげなく俺たちは森を抜けることができた。
またキラーウルフとやらが出てきたのなら、腰布を外してぶん殴ってやればそれだけで済む話ではあったが、危ないことなんてないに越したことはないからこれでいいのだ。
森を抜けて街道を30分ほど道なりに歩いたところで町の入り口らしきものが見えてきた。
あたりはすっかり俺のいた世界でいうところの夕暮れ時だ。
「先に依頼達成報酬をもらって、それからシューイチさんの服を買ってきますからここで待っていてください」
まあ俺のような全裸男と一緒に町を堂々と闊歩してたら、確実に変態パーティーと思われるだろうしな。
街道の脇に生えている大きな木を隠れ蓑にするようにしつつ、俺とシエルは人のまったく通らない街道をぼんやりと眺めながらエナの帰りを今か今かと待ち続けている。
ふと空を見上げる。
(へぇ~この世界は太陽みたいなのが3つあるのか)
今までは森の中だったせいで上を見ても木々しか見えなかったから全然気が付かなった。
これを見ただけで自分は本当に異世界に来たのだと自覚する。
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