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出会う
真っ白な太陽が顔を出しているのに雪がチラホラとまう不思議な日中。
丸っこい眼鏡をかけ、透き通るような黒髪に白い雪を纏わせ、公園の道を歩く女の子。
手には先程、中古品として安く買った一眼レフカメラが握られていた。
彼女にとって不思議なカメラだった。
一度も見たことないお店なのに、このカメラがある気がして、お店に入ってみれば優しそうなおじいさんがカメラをもって待っていた……。
まるで呼ばれた気がした。格安だったし……。
この公園も導かれるように歩いていた。
かれた背の低い木が両脇に並ぶ一本道。
突き当たりには広場があって大きな木が一本だけ立っているのが見える。
とりあえずそこまでいって写真を撮ろうと思っていた。
同じ公園を歩く、爽やかな短髪の似合う男の子。
手には先程、旅から帰った父から譲り受けたカメラが握られていた。
彼にとって不思議なカメラだった。
まずは夢にでてきた、彼がカメラを持って呪文を唱えると空を飛ぶという夢。
そしてお次が、父のバックに入っていると知らなかったのに、あるような気がして開けたら、やはりあったのだ。
父はそんな彼を見て快くプレゼントした。
この公園も導かれるように歩いていた。
枯れた木が両脇に並ぶ一本道。
突き当たりには広場があって大きな木が一本立っているのが見える。
とりあえずそこまでいって写真を撮ろうと思っていた。
彼女は道の終わりまで来てカメラを構えた。
彼は、道の終わりまで来てカメラを構えた。
かじかんだ手、右目はカメラを除き込み左目は白く色づいた吐息で隠れた。
そして、二人ともお互いに隣から乾いたシャッター音が響いた。
二人はゆっくりと顔を見合わせた。
A「はじめまして……。」
B「こちらこそ、はじめまして……。」
ウィザードのおじいさんは水晶玉を見ていた。
しまった、もう出会ってしまった。しかし、まあ、なんだかいい雰囲気だ。
彼はこれはこれで良かったようでニマニマと笑っていた。
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