第1章 ぬいぐるみ

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そこで、Yくんに頼まれた、 「僕の変わりに、この子を持っていってくれ」と・・・ そして、この子をいろいろな場所で撮影してきてほしいと・・・ そして、その写真を見て、僕も参加した気持ちになりたいと・・・ ぬいぐるみは、持ち込み禁止なのだが、教師に相談したら、OKしてくれた。 クラスのみんなも協力してくれた。 東京では、いろいろなところに行った。 浅草、スカイツリー。東京ドーム、ディズニーランド(千葉だけど)・・・ いたるところで、Yくんのぬいぐるみと写真を撮った。 井の頭公園にも行った。 「ねえ、Yくん(のぬいぐるみ)と、一緒に写真を撮りなさいよ」 「えっ」 そういって友達に、ベンチに座らされる。 私は、Yくんのぬいぐるみを抱いて座ろうとした。 「抱いたらダメ。横に座らせて」 親友の言葉通りに、横に座らせた。 「Yくんに、送信する?」 「ううん、私が直接持っていく」 こうして、修学旅行が終わった。 そして、帰宅後、Yくんの家に向かった。 写真を見せると、とても喜んでくれた。 でも、不思議なことが起こった。 Yくんのぬいぐるみと撮った写真は、全てぬいぐるみではなく、 Yくん自身の写真だった。 撮った時に確認した時は、確かにぬいぐるみだった。 でも、全てがYくん自身になっていた。 不思議だったが、おそらくYくんの心が、一緒に来てたんだろう。 数日後、Yくんは旅立った。 棺には、ぬいぐるみを入れた。 ぬいぐるみの名前は、パピ。 蝶をモチーフにした、キャラクターだ。 蝶は死んだ人の魂という。 おそらく、Yくんを天国へと誘ってくれる。 そう信じたい・・・
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