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「じゃあ真一は…」
「うん。きっと君と妹の板挟みにあったんだろう。
病弱な彼女を、一人ぼっちにさせておけないと…君と別れた後、凄く後悔していたよ」
「そんな…」
私は何て馬鹿なんだ!
彼を信じる事が出来ず、周りの噂に翻弄されてたなんて!
「それでその後はどうなったんですか?」私はいつの間にか、身を乗り出していた。
「それから四回生に上がった春に、お父さんが亡くなったんだ。お父さんが残したお金が少しあるんで、三人で空気のいい田舎にでも引っ越すと言ってたよ」木下はそう言って、窓の外を見ていた。
「彼は?真一は今、何処に住んでいるんですか?」
「それは僕も知らないんだ。あいつは卒業を待たずに退学したからね。でも、あいつ言ってたよ。
君には本当に悪い事をしたってね」
「そんな…」
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