よくある古本屋の片隅で

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するとマスターが「木下君、待たせたね」と入荷明細書を持ってきた。 「どうもありがとうございました」と木下はマスターにお辞儀して「じゃあ僕は行くよ。君に話せて良かった。ここ、僕が払っておくから」と手を振って、店を出て行ってしまった。 そして私はしばらく、席を立つ事が出来ずにいた。 どうして本当の事を言ってくれなかったの? どうして私を頼ってくれなかったの? 私はただテーブルに顔を埋めて、声を殺して泣いたのだった。
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