よくある古本屋の片隅で

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あれから二十年か… 時間が経つのは本当に早いものだ。 あれ程の恋は、もう無いだろう。 でも、今の暮らしには満足している。 平凡だけど夫は優しい人だし、息子も娘も元気に育ってくれている。 私はその本を、パラパラとめくった。 「ふふっ」 そうだ。いつもここで、真一と意見が分かれたんだ。 主人公が最愛の人を選ぶのか?それとももう一人の、愛の無い愛を選ぶのか? 私は「そりゃあ愛する人じゃない」と言ったが、真一は「そうかな?その人の為に、他の道を選ぶ事もあるんじゃないかな」とはぐらかしていた。 勿論この本の結末は、最愛の人を選んだのだが。 そしてその本を閉じようとした時、最後の空白に何か書いてあった。 そこにはマジックで、こう書かれてあった。
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