よくある古本屋の片隅で

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私はある古本屋さんに立ち寄った。 若い頃はよく、色んな本を読んだものだった。 しかし今では二児の母となり、そう言う時間も薄れていった。 何気に見ていると、ある一冊の本に目が止まった。 昔、学生の頃に付き合っていた彼が好きな本だった。 「男のくせにラブロマンスにハマってるのね」と当時はからかっていたが、読んで見ると私の方がハマってしまった。 それは人生で一番の大恋愛だったと、今でも思っている。 * * 彼の名前は徳永 真一。大学の一年先輩である。 私が入学してからひと月が経った頃、学内の図書館を訪れた。 数ある本がごまんと並べられた、大きな図書館だった。 私は度々訪れては、好きな本を借りては読みふけっていた。
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