よくある古本屋の片隅で

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涙で前がよく見えない。 しかし彼が、私を追いかけて来る事はなかった。 きっと、それが答えだったのだ。 私の恋は終わった。 短い間だったけど、駆け抜けた青春だったと、今でも鮮明に覚えている。 しかし、本当の真実を知ったのは、私が大学を卒業する前の秋の事だった。 * * 就職の内定も決まり、一段落した事もあって大学の近くの喫茶店で、一人で本を読んでいた。 最近オープンした、まだ新しいカフェだ。 「君、確か大前 明美さんだよね?徳永と付き合っていた」と、突然見知らぬ男性から、声を掛けられたのだ。
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