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やぁお嬢ちゃん。 こんな森の奥で一人って、もしかして迷子か?
…やっぱりな。 よし、わかった。おじちゃんがパパとママを見つけてあげよう。 だからもう泣くな! ほらおいで。
え? おじちゃんは誰かのパパなのかって?
…あぁそうだよ。 おじちゃんはお嬢ちゃんみたいな子のパパだったんだ。
『だった』なんだけどね。
おじちゃんの娘もお嬢ちゃんみたいにとってもいい子だったんだよ?
お花と赤色が大好きな子だったんだ。
よくこの森に花をつみに来たよ。
おじちゃんの奥さんがね、お洋服を作るのがとっても上手だったんだ。
だからよく手作りの赤ずきんを被っていたよ。
でもある日ね、おじちゃんが朝起きたら二人ともいなくなっちゃってたんだ。
なんで? か… おじちゃんにもわからないんだ。
でも二人が今、何処かで幸せに暮らしていればそれでいい。
…お? あの人達はお嬢ちゃんのパパとママかな?
そっか、そりゃあよかった。 もうはぐれちゃダメだよ?
特にこの辺はオオカミが出るからね。
おじちゃんが持ってるこの長い棒は、悪いオオカミからみんなを守るためのものなんだ。
じゃあバイバイお嬢ちゃん。 気を付けてね。
懐かしいことを思い出したな。
そういえばこの辺にお義母さんの家があったよな…。
お義母さんのためにも、早くオオカミを見つけないと。
あの子がお義母さんの所に来た時、オオカミに会ったら大変だしな。
俺は空を見上げた。
白く美しい雲に、愛しの我が子の姿を映して。
「さぁ、仕事するか。」
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