2話目  その次の。

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「……」  図書室で落ち合った今日は当然、会話もなくお互いに勉強だった。  もはやこれはデートとは呼べない気がする。いや、レポートを書く時間がないなんて俺がうっかりこぼしたせいで、心優しき真面目な委員長はこの場所を提案してくれたんだが。  おかげでレポートは進むけど、こっちの関係はサッパリだ。あまりの通じなさに溜息がでる。 (どっか遊にいきたい)  俺は腕を伸ばして、委員長のレポート用紙に走り書きした。 「どこに」  委員長は驚いたような顔で問い返した。せっかく筆談にしたのに堂々と声に出すのは、無粋だろう。それに、驚く意味がわからない。恋人同士なら遊びに行きたいって思うのは、当然じゃないのか。  俺は、二人きりになれればどこだってよかった。これみよがしに大きな文字で書く。 (何処でもいい。二人がいい) 「今だって一緒にいるだろう。提出用の課題は終ったのか」  鈍いんだか真面目すぎるんだか、クソつまんない返事が返ってきたので、俺は乱暴に文字を書きなぐった。 (委員長の家、行ってみたい) 「俺の?」  委員長は珍しくはっきりと嫌そうな顔をした。眉がぎゅっと寄ってしかめ面になる。男っぽい顔立ちだから余計に強い拒絶に見える。 (だめ?)  見上げて目で訴えてみたけど、委員長の返事は早かった。 「困る」  モヤモヤした気持ちが黒雲のごとく湧き上がってくる。
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