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柔い舌が俺の中に入ってくる。
俺の脳天は痺れたみたいになって、なすがままに口を開け、その乱暴な熱を受け入れた。むさぼるように口づけた後、ようやく委員長は言った。
「一度触ってしまったら」
さっき集中しろ、と言い放った低い声が、今度は甘い艶を帯びて、耳元で囁いた。
「お前の肌の感覚が蘇ったら、抱かずにいられない。だから」
「だか……ら、って何だよ、冷たいよ。あれから、ずっとだよ」
俺は精一杯の反論を試みたけど、それは口先だけのことだった。
委員長のキスで腰砕けになった俺は、そのままずるずるとへたりこんだ。床にしゃがんだ俺にあわせて委員長も膝をつく。屈んだ目線では、机の脚が俺たちを閉じ込める檻のように乱立している。
遠くで時刻を知らせるチャイムが鳴った。でもそれはもはや別世界のように遠かった。
俺たちの息遣いや心音があまりに近かったから。
委員長は、片手を床について身を乗り出し、二度目のキスをした。深い口づけで乗り上げるように体重をかけられて、俺はあとかたもなく崩れそうだった。
「瑞樹。いいか、ここで」
短い断りとともに、委員長は俺のベルトに手をかけた。
俺は返事をしなかった。ただ委員長の首に腕を絡めた。
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