3話目  歌う声の。

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「は……、何でこんなに焦るんだろうな、俺」 「そういう事を聞いてる場合じゃ……、ん、だから俺ばっかり、あ、…っ…、」  激しく動き出すと、和真の身体が俺の下でうねるように躍った。  かまわず突き上げ、俺はその気持ちよさにひたすら夢中になる。  なんでこんなにいいんだろう。自分の体でもないのに、あるべき場所のように心地よい。  和真は甘い嬌声を聞かれまいと歯をくいしばり、苦痛も羞恥も同時に噛み殺そうとする。だが、どうしても俺の動きにつられて息が乱れた。 「和真、苦しい?」 「くる…いん…じゃない」  腰をがっちり抱え込まれて、和真は逃げようがないはずだった。いっそ力を抜いた方が楽なのに、逆に身体が弓なりに反ってずりあがってくる。俺はそんな和真を引きずるように抱き竦めて抑え込み、獰猛に暴れ続ける。  和真の体に何度でも楔を打ち込み、俺の存在で埋め尽くしてしまいたい。  ぎしぎしと体を軋ませながら俺たちはさらに深く繋がりあう。 「涼太……」 自らの喘ぎ声をさえぎるように、和真は突然俺の名前を呼んだ。
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