〈expiry point 1〉 Common Destiny

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 自分の腹から下がないことに。  力が抜けて、風呂場の床に横たわる。激しい痛み、掻きむしっても消えそうにない熱さ。急な嘔吐感に襲われて血反吐を吐いた。 「イツキ!」  フレイアが俺の身体を抱き上げた。 「にげろ、ふれいあ」 「イツキを置いては逃げられない」 「そういうわけにも――」  そこまで言いかけた時、フレイアの背後に影を見た。黒い影、間違いない、人の影だった。  しかし、そんな思考も意味がなかった。  フレイアの口から血が溢れてきた。  そうか、逆か。  向こうでは俺がフレイアの立場だった。 「ごめん、な、ふれいあ」 「ええ」  最後の力を振り絞ってフレイアの手を握った。痛いし辛いし、一刻も早くこの状況から開放されたいという気持ちはある。でもそれ以上に、彼女を送り返せるという気持ちの方が少しだけ勝っていた。  目を閉じる。  友人たちの顔に双葉の顔、優帆の顔。そしてフレイアの顔が浮かんで来る。  心の中でもう一度「ごめん」と呟いた。それが、俺の最期だった。 【to the next [actuality point]】
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