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ボタンだ……。
細長い銀色の一本脚の丸いテーブルが有り、
その上に乗せて有る正方形の箱の上にボタンが付いていた。
テレビのクイズ番組で解答者が答える時に押すようなボタン……。
誰かが押すのを待っているかのように、
公園にソレは置いてあった。
時刻は十五時四十八分……。
帰社して課長に報告すれば業務終了、
丁度定時に退社出来る時間だ。
ボタンなど無視して帰れば良いのだが……。
何で公園に置いてあるのかが気になる……。
テレビのロケ隊の忘れ物なのだろうか?
それともイベントで使う小道具とかなのか?
何なんだあのボタンは?
向かいのベンチに腰掛けて様子を伺いながら、
煙草を取り出して咥える。
……押してみたい。
煙草に火を付けながらそんな衝動が湧き出す。
どうしよう……無性に押してみたい。
煙草吸い終わったら押してみるか?
……待てよ?
もし爆発物だったらヤバイな………。
誰かが押すまで待とう!
それまでは待機だな。
とか考えてたら遠くからキャアキャアと声が聞こえてきた。
子供だ……。
小学生の集団がこちらに近付いて来ている。
「何あれ~?」
一人がボタンに気付いて走り寄って来た!
もし爆発物だったらヤバイっ!
ベンチから立ち上がり『危ないっ!』と言おうとしたが遅かった………。
既にボタンを押していた………。
「何コレ~?」
そう言いながらパシパシ押してる小学生。
何も起きない……。
「何だコレ?」
集団で押しまくる小学生達。
「へ~んなのっ!」
小学生達は飽きてしまったのかその場を立ち去って行った。
爆発物じゃ無くて良かったが……何の為のボタンなんだ?
俺も一応押してみたが何も起きない……。
さて会社に戻ろう。
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