公園にソレは置いてあった。

2/2
前へ
/3ページ
次へ
ボタンだ……。 細長い銀色の一本脚の丸いテーブルが有り、 その上に乗せて有る正方形の箱の上にボタンが付いていた。 テレビのクイズ番組で解答者が答える時に押すようなボタン……。 誰かが押すのを待っているかのように、 公園にソレは置いてあった。 時刻は十五時四十八分……。 帰社して課長に報告すれば業務終了、 丁度定時に退社出来る時間だ。 ボタンなど無視して帰れば良いのだが……。 何で公園に置いてあるのかが気になる……。 テレビのロケ隊の忘れ物なのだろうか? それともイベントで使う小道具とかなのか? 何なんだあのボタンは? 向かいのベンチに腰掛けて様子を伺いながら、 煙草を取り出して咥える。 ……押してみたい。 煙草に火を付けながらそんな衝動が湧き出す。 どうしよう……無性に押してみたい。 煙草吸い終わったら押してみるか? ……待てよ? もし爆発物だったらヤバイな………。 誰かが押すまで待とう! それまでは待機だな。 とか考えてたら遠くからキャアキャアと声が聞こえてきた。 子供だ……。 小学生の集団がこちらに近付いて来ている。 「何あれ~?」 一人がボタンに気付いて走り寄って来た! もし爆発物だったらヤバイっ! ベンチから立ち上がり『危ないっ!』と言おうとしたが遅かった………。 既にボタンを押していた………。 「何コレ~?」 そう言いながらパシパシ押してる小学生。 何も起きない……。 「何だコレ?」 集団で押しまくる小学生達。 「へ~んなのっ!」 小学生達は飽きてしまったのかその場を立ち去って行った。 爆発物じゃ無くて良かったが……何の為のボタンなんだ? 俺も一応押してみたが何も起きない……。 さて会社に戻ろう。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加