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……。
分りやすい地図を片手に、欠点持ちの集う街を歩く。意外と普通の街並みをしていて、夕暮れ時で赤く染まる光景は、ともすれば他の街よりも遥かに美しくさえ思えた。
見上げれば、駅の反対側にある山の上に建てられた白い塔が、夕焼けを後光のように纏わせているのが視界に映った。
『今日 家を出たのは朝の5時だったんですけど 今気づけば夕方の5時 電車だけで12時間ほども掛かったのは初めてです』
夕暮れの景色で時間を思い出したのか、音無ちゃんは持っていたスマホで時間を確認し、ホワイトボードにそう綴る。
「うん、この街はかなりの僻地にあるからね。僕も電車は始発で乗ったけど、本当、一日で着けて良かったって位の距離だ。
ここまで僻地だと、どうやって電線を通してるんだって気になってくるよ」
『近くに発電所があるのかも知れませんね』
「確かに水力とか、近くにダムがあってもおかしくなさそうだ」
街の感想を話しながら歩いていけば、12時間の旅の末、やっと地図で赤丸が付けられた建物へと辿り着いた。
かなり新しく建てられたマンションらしい。10階建てくらいだろうか、既に人が住んでいるのか、幾つかの窓から光が覗いている。
僕は地図と一緒に渡されているカードを確認すると、そこには702号室と書かれている。音無ちゃんはその隣の701号室だった筈だ。
「とりあえず、入ろうか」
彼女は僕に頷くと、手を繋いで一緒にマンションへと入っていった。
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