異常な街

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カードリーダーに持っていたカードを通せば、ピッという電子音と共に"ロック解除"の文字が浮かんだ。それから一拍置いて、自動ドアがウィーンと開いていく。 「一応、音無ちゃんもやってみようか」 自動ドアが閉まったのを確認すると、音無ちゃんも僕と同じようにカードリーダーにカードを通す。 先程のように電子音はしなかったが、"ロック解除"の文字は浮かんで、同じように自動ドアがウィーンと鳴りながら開いた。 「自動ドアの音はするんだね」 自動ドアを越えてやって来た音無ちゃんに僕が言った。 『自分が関係してると認識してないものは 能力の対象外なんです』 自分でも良く分からないんですけど、と小さくホワイトボードの下に書き加えられる。 欠点持ちは、空想の能力者のように自分の能力を十全に把握できず、扱えない。故に利点になりうることはあれど、能力を扱えないという欠点が大きすぎてカバーにならないのだ。 無事に自動ドアを抜け、僕達はエレベーターで7階へ向かう。換気のしっかりしたエレベーターらしく、心地よい温度をしていた。 先程の自動ドアといい、設備が行き届いている。 「あ、そういえば音無ちゃんってスマホ持ってたんだね。アドレス交換しとかない?」 時間確認に音無ちゃんがスマホを取り出していたのを思い出して、そう尋ねる。 女の子のアドレスを聞くという行為に相手が年下だとしても気恥ずかしく感じたが、音無ちゃんにはそういう感情はないようで、『勿論 お願いします』といって笑顔でアドレスを教えてくれた。 『久しぶりのアドレス交換です。 後で部屋に戻ったらメールしますね!』 「うん、楽しみに待っとくよ」
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