3人が本棚に入れています
本棚に追加
……。
かちっ、かちっ、かちっ。秒針が揺れる音が聞こえる。
まだ少し暗いほどの時間、東の窓から差し込む朝日が僕の横たわっているベッドにまで伸びてきている。
くぅーっと、伸びをした。新しい環境で眠りにくいかと思ったが、僕はそんなに繊細な人間ではなかったらしい。音無ちゃんと別れた後、ベッドに潜れば至極簡単に夢の世界へと誘われることが出来た。
目覚まし時計を確認すると時刻は午前6時前を指していた。元々午前7時に起きようとしていた為、アラームが鳴るのは未だ先だ。
ここから一時間ほど眠ろうかともベッドから起きずに考えたが、どうも身体はもう睡眠を欲していないらしい。
仕方がないのでベッドから降り、少し早い朝食を取るためにキッチンへと向かう。
昨日で大まかに片付けはしたが、音無ちゃんが来るまでに食事を準備をしたかったから、まだ幾つか片付けを後回しにしていた段ボールは残っている。
そんな段ボール達を流し目に見ながら、僕は今日の予定を頭の中で整理した。
今日は午後2時に塔で用がある。黒服の男性から送られた地図を見るには、徒歩で約40分ほど掛ければ辿り着くようだ。
つまり、万全を期すなら午後1時には出ておきたいところ。
となると、その間までなにをするかということになる。どうせなら、このマンションの周りを散策したいと思うのだが、もし、音無ちゃんに何かしたいことがあればそれを優先することにしよう。
「……とりあえず、音無ちゃんが起きてくるまでは部屋の掃除って感じかな」
朝のサンドイッチを頬張りながら、僕は窓から覗く街の光景をぼんやりと見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!