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『他人の心が読めても それが無差別なら良いことより悪いことの方が多そうですね』
同情するように言葉を綴る。僕はそれに頷くと、学校の校庭を見つめた。
「その先生が精神病院に行ってその後どうなったのかは知らない。けれど、この街の創始者のことだ、きっとここに連れてきているんじゃないかな」
これは僕のささやかな願いも混じっている。僕は先生のことを聞いたときから、一度会って話してみたかったのだ。
僕のあり得ない想像だが、その人になら何時までも……。
「おや、この学校に何か用かい?」
そんなことを考えていると、不意に誰かの声が後ろから聞こえ、僕はぎょっとして振り返った。そこにいたのは50過ぎくらいだろうか、ジャージを着たおじさんが僕達を白い目で見ながら立っていた。
「……いえ、今年から入学することになったので、どんなところかなーと見に来てたんです」
「ははぁ、成る程ね……」
おじさんは警戒するような態度を崩すと、少し考え込む素振りを見せてから、ポケットの中のカードを取り出した。それを校門の横にある扉のカードリーダーに翳すと、扉はカチャリと音をさせた。
「探検したいなら入り。私の目の届く所までなら好きに見て回ると良い」
僕達は突然されたおじさんからの提案に顔を向け合うと、時計を確認し、それから一緒に頷いた。
「では、お言葉に甘えて」
『失礼します!』
……。
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