異常な街

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……。 何もすることがなくなって、僕は一人の車両で座椅子に寝転がった。それから向こうの車窓から見える自然の光景をぼんやりと眺めた。 どれくらい掛かるのだろうと、持っていた地図を広げた。赤い道程を指でなぞりながら駅名を辿る。そうしていくと、直近で聞いた駅名を見つけた。そこから降りる駅までの距離を指で測ると、まだまだ降りられないことが分かってため息をついた。 これならば、何か暇を潰せる用意をしておけばよかったかもしれない。 僕は自分の準備の悪さに舌打ちしつつ地図を閉じると、眠たくはないが眠ろうとそのまま横になろうとした。そんな時、 『こんにちは』 閉じようとする視界の端に、そんな文字が映ったのだ。
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