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確か、20年ほど前からだろうか。
科学的に証明できない異常現象を起こす人達が現れるようになったのは。
それは、まさしく漫画や小説、空想の世界で良く語られる"能力者"だった。熱を発生させたり、水を波打たせたり……能力者達はそんな、超常現象を引き起こす術を後天的に身に付けた。
そんな能力者に世界は躍起になった。彼らがどういうシステムで能力を使うのか、漫画ほどではないが半ば実験動物のように彼らは研究所で調べ尽くされた。
だが……物語のような存在である能力者が、その物語のように振る舞うことは許されていなかった。
彼等の能力はオンオフの制御が効かないのだ。少なくとも今の今まで、オンオフを切り替えることが出来る融通の効く能力は存在していないという方が正しいか。
熱を発生させる能力は、同じ部屋に長時間居ると自身にすら牙を向き熱射病を起こした。
水を波打たせる能力者は、水すら満足に飲めなくなった。
そして、研究の成果も芳しくは無かった。
どうやら脳に関係する現象らしいと言うことだけは最低限判明したが、如何せん能力者自身が無意識にそれを身に付けており、そして全く操れていない現状、それ以上を調べるにはまだまだ技術も時間も足りていなかったのだ。
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