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翌朝、竜桜が目を覚ますとザーブルは既にいなかった。
「あんにゃろ、もう行きやがった。せめて一緒に行くぐらいはしてくれてもいいのに」
セレモニーホールにて入学式が行われた。夥しい程の椅子があり、壇上には巨大なティラノサウルスの石版のレリーフが飾られていた。
集まった入学生達同士は前日のバスの中と同じく初対面同士と言うことで、初々しい敬語でのやり取りで自己紹介を行っていた。
昨日のバスのメンバーの数倍はいる所、竜桜達以外にも入学者がいるのであった。
「おはよ」
竜桜の肩を叩き、話しかけてきたのはジュラだった。昨日のザーブルとのやり取りがあまり良いものではなかっただけに、こうして親しげに話しかけてくるジュラに対して心からの安堵を覚えていた。
「どうだった? よく眠れた?」
「まぁまぁ…… かな?」
「あたしなんか初日で緊張して全然ダメ。ほら、引っ越しで環境変わると急に体調崩すじゃない?」
「うん、わかる」
全員が着席すると同時に、壇上に威厳と威圧感のある白鬚を蓄えた男が登った。
「ほら、あれがここの校長」
「ふーん」
竜桜は校長のことなど、どうでもいいかのように辺りを見回した。
周りは誰かしら友達が出来たのか二個掛けで座っているのにザーブルの隣だけは誰もおらずに一人でぽつんと座っていた。竜桜だけにあんな対応をしていたのではなく他の皆にも同じく冷たい対応をしていたことは明白だった。
「えー。まず皆さん、この国立恐竜学苑にご入学おめでとうございます。私が校長を勤めさせて頂いている飛石後氷河(ひせきのち ひょうが)です。おはようございます」
「「「「「おはようございます」」」」」皆、一斉に挨拶を行った。それから氷河校長はこの学苑の成り立ちや恐竜に対する思いを語り始めた。典型的な「退屈な校長の話」である。それ故に眠くなったのだが、入学初日から寝るのはマズイと思った竜桜は必死に眠気と戦っていた。それを尻目にジュラは堂々と船を漕いでいた。この女、案外大物かもしれないなと思った所で氷河校長の話は終わった。
それから食堂にてバイキング形式の歓迎食事会が行われた。新入生だけでは無く2年3年の在校生も参加していた。会場内では、バニーガールならぬパラサウロロフスの鶏冠やトリケラトプスの角の飾りをつけたサウルスガールがソフトドリンクを配って回っていた。ちなみに高等部の女子の先輩である。
「どれだけ生徒いるんだろうね」
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