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「*****」  蕩けたような笑顔を浮かべた私。自らの首に添えた右手を、思い切り後ろへ引く。  確かにこの瞬間の私は、喜びを感じていた。 「ルネッ……!!! 待て! やめろ!」  彼に、――愛した男に、一生忘れられない痛みを植えつける。  そんな昏い喜びに、歪んだ私は全身で酔いしれていた。  私は、彼を愛していた。愛していたの。私は、初めて人を愛するということを知った。  月が綺麗ですねと言ってくれて嬉しかった。まるで、私を綺麗だと言ってくれたみたいで。  あなたのそのうつくしい瞳が好きだった。真っ直ぐで濁りのない瞳。  ああ、なんて顔をしているの。まるで捨てられた子犬みたいな顔じゃない。  私のため? 私のために、そんな顔をしてくれているの?  私は嗤った。  最期に見たのは、夜空のような紺色に映った紅い華。  どうか、お願い。  私を忘れないで。
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