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立て、と言う彼の言葉に従って私はゆっくりと立ち上がった。
彼は嘘をついた。私が民間人などでは無いことは、彼なら分かっているはずだった。
なぜ嘘をついたかなんて分かっている。彼は、為政者として冷たい顔をすることはできるが心の底から冷たくなることなんてできる人などではないのだ。何度も会っていれば、彼の人となりなど分かってくる。
彼に武器を持っていないかを検められる。腰に護身用に偽装して提げていた短剣は奪われたが、私は彼のその優しさに従うことにして、促されるままに歩いていった。
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