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●【透の回想】夏のよく晴れた昼、自然豊かな場所
T「ーー約4ヶ月前」
透「明(めい)! こっちこっち!」
大きな木の下で手を振り呼びかける透。現在よりもだいぶやんちゃな印象。
同い年くらいのおとなしそうな少年が小走りでやってくる。
明「わぁ……!(木を見上げる。息が荒め。) ほんとに大きいね!こんな所初めて来たよ……。」
透「だろ!(明の反応を見て満足そう) こないだいつもと違う道に入って見つけたんだ。」
明「……つまり迷って偶然辿り着いたんだね。(ため息)
あ、もしかしてこの間10時過ぎに帰ってきてお母さんにめちゃくちゃ怒られた時の……!」
透「(目を泳がせて言葉を遮る)あ~~!! カブトムシみっけ!」
木を登り始める透。
明「透、あんまり無茶したらダメだよ。」
木の下から呼びかける明。
透「なんで明はいっつもかーさんみたいなこと言うんだよ。(顔をしかめる)
つーか、明も登って来いって!上から街が見えんだぜ!」
明「えっ……。僕は……いいかな……。(勢いが落ちる)」
透「あー、明はスポーツダメだもんな~。あんな綺麗な景色が見られないなんてざーんねん(煽る感じで)」
明「(ムッとして)僕だって登れないわけじゃないし。」
明、登ろうと足をかけてみるがうまくいかない。
透「ーーふふん。こうするんだよ。」
降りてきた透に教えられながら少しずつ登っていく。
●高い所にある枝
明「つ、ついた……?」
透「着いた。見てみ。」
先に着いて丈夫そうな枝に腰掛けている透。体勢を整え、おそるおそる視線をあげる明。
明「……!わぁ……!」
近くの緑と眼下の街並み、夏の青空と雲が一堂に会した綺麗な景色が広がっている。
明「すごい……!」
透「な? 登ってよかっただろ?」
明「うん……! 木も登れるようになったし、帰ったらお礼にアイスあげるね。バニラのやつ。」
透「やっった!」
二人の笑い声。しばらく景色を見ながら話して盛り上がる。
明「……ところで、降りるときはどうすればいいのかな……。」
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