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透「だいじょーぶ、さっきみたいに俺のあとを……、」
自分のほうが奥(明の後から降りざるをえない位置)にいることに気付く。
透「……。だ、大丈夫だって。さっきの逆。落ち着いて、ゆっくり降りればいーから……。」
明「う、うん……。」
緊張した面持ちで少しずつ幹の方へ移動する明。その時、強い風が吹く。
明「わぁぁ……!」
透「明!落ち着け!しっかり掴まれ!」
明「……っ! うん……!」
バランスを立て直し、幹に移ろうとする明。ほっとした表情で見守る透。だが。
透「ーー……!」
手を伸ばしたものの届かず、落ちていく明と目が合う。
●【回想終わり現在へ戻る】透の家、夜だが灯りは点いていない
帰って来た透、玄関の電気をつける。下駄箱の上の家族写真に目を遣り、少しためらったあとで
透「……ただいま。」
●リビング
床にはビリビリに引き裂かれた雑誌や新聞紙、割れた食器類が散乱している。ソファには畳まれていない洗濯物が堆積し、ダイニングテーブルの茶封筒から紙幣がのぞいている。カレンダーは8月のまま。
透、鞄をおろし先程の端末を取り出し眺める。
透「……あれ?」
透M「スケルトンだ。さっきあいつが操作してたのってグレー?だったような……。
まあ、いいか……。」
透、キッチンへ向かう。
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