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俺は彼女を追いかけ、追いかけ、追いかけた。
なんだろう、人込みの中にいる君のことは見失わない気がした。
なんかこう、光って見えたんだ。
やっと近くまで来た俺は君の手を引いた。
そして、人込みの中を走った。君の手は離さなかった。
(もうこの手は離さない、最期まで、きっと)
なんとか人がいない路地裏に来た。
息を整え、俺たちは初めて顔を合わせた。
目と目が合う。
(ああ、この子だ)
驚いていた彼女も俺と目が合い、落ち着いた。
彼女は頬を赤らめ、俺の手を握り返した。
俺の顔のおかげか、彼女も運命を感じたからか。後者だといいな。
俺たちは見つめ合い、微笑んだ。
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