星と滑り台

18/20
前へ
/20ページ
次へ
 トゥルルルル…… 『はい。もしもし』  陽菜の声だった。俺の中に様々な感情が蘇る。 「あ、ああ。慶一だけれど」 『慶一くん。久しぶりだね。でも、今バイト終わりで疲れてるんだ。またにしてくれるかな?』 「そうか。すまなかった」 『ううん、こちらこそせっかくかけてくれたのにごめんね。それじゃ』  プーッという音を立てて、電話が切れた。  やってしまった。先にメールなりしておくべきだった。そうすれば都合のいい時に電話をすることができたのに。全く本当に自分勝手な電話をかけてしまった。  それでも、前と変わらない陽菜の声は俺を安心させた。電話をかける前と今とでは、まるで自分が別人になったかのようだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加