星と滑り台

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 俺は先週、仕事を辞めた。高校を卒業した後、知り合いのツテで入った介護の仕事だった。夜勤は辛かった。月に2人は施設から行方不明者が出て、町中を探し回った。介護は結構な力仕事で、俺はまだ未成年なのに腰を痛めた。  それでも俺は、あの仕事が嫌いではなかった。先輩と一緒に飲む夜勤明けの缶コーヒーは最高だったし、何より施設利用者という人生の大先輩達のことが好きだった。教師だったおじいちゃん、孫が甲子園に行ったことをいつも自慢しているおばあちゃん。彼ら彼女らの笑顔が憎たらしいこともたまにはあったけれど。それでもやっぱり、皆の笑顔が好きだった。
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