星と滑り台

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 次の出勤日。俺は家を出ようとした時に猛烈な吐き気に襲われた。そうして仕事を休んだ。その次の日も、そしてその次の日も。  1週間後、俺はようやく回復して夜勤に復帰した。焼肉屋で皆と会う前と同じ仕事をした。同じはずなのに、何かが違った。俺の心が、どこかおかしかった。腰が痛かった。機嫌が悪いおじいちゃんに殴られた。おばあちゃんが夜ご飯を吐き出してしまった。いつものことのはずなのに。  それでも半年、俺は勤めた。そうするしかなかった。  そして先週の水曜日。夕方に目覚めた俺は、夜勤の準備をする為に起き上がろうとした。しかし起き上がれなかった。全身の関節がアスファルトで固まっているかのようだった。頭のてっぺんから足の先まで、ガクガクと震えていた。  もう駄目だと思った。何が駄目なのかわからない。上司や先輩にいじめられているわけでもない。辛くても好きだった職場と何も変わっていない。けれども、もう、辞めなければならないとはっきりと感じた。
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