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高校の文化祭が終わり、学校中が後片付けの喧騒。それでも祭りの後の静けさと、夕暮れの寂しさが高校を橙色に包んでいた。俺は1人でぼんやりと中庭のベンチに座っていて、流れていく雲を数えていた。
「慶一くん?」
「……陽菜」
気がつくと、陽菜が目の前にに立っていた。陽菜は小学生の頃からの知り合いで、当たり前に近くにいて、俺は当たり前に陽菜が好きだった。けれども俺は、それを陽菜に打ち明ける勇気を持ってはいなかった。
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