第三章 理由

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 日曜日。  結局、祐紀につきあわされて女子の試合に来たコウは、祐紀が女バス部員と話している隙に、体育館から抜け出した。  応援の生徒や選手たちとすれ違いながら、足早に昇降口につながる階段を降りる。このままひとりで家に帰るつもりだ。  もうすぐ第一試合が始まる。祐紀と一緒にあの北高の子の試合を見るのは、なんだか嫌だった。  考えごとをしていたせいで、北高のユニフォームを着た集団が階段を上がって来るのに、直前まで気づかなかったらしい。 「……あ」  視線を感じて顔を上げると、目の前に、問題の笠原恵美が立っていた。
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