(3)もふもふ生活!

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 テーブルの下に置いてある雑誌と本を、秀は手に取った。 「あれだな、きっと、ペットショップから逃げてきたんだな」 「うーん、ゲームの運営からは全然返信が来ないから、実はそうなのかも知れないけど、こんなアパートの二階に来るか?」 「それか、ウサギがたくさん生まれたけど育てられなくて困った人がダンボールにでも入れて、この辺りに捨ててったか」 「かもな」  適当に返事をした壮はウサギの額と背を撫で、撫でるたびに気持ち良さそうに目を細めるウサギを見ながら、完全にニマニマと破顔していた。  それを眺めていた秀も、そうっと手を伸ばしてみる。  壮の膝で寛いでいたウサギは、秀の指の匂いを嗅ぎ、ペロペロと舐めた。 「わ! かわいい!」 「だよな!」 「これ、オス、メスどっち?」 「区別つかねぇ」 「避妊手術した方がいいんじゃね?」 「手術代かかんだろ。外に出さなきゃいいんだよ。なー、ウサギちゃん!」 「俺にも抱っこさせて!」 「そーっとだぞ。ウサギは骨が弱くてすぐ骨折するらしいからな」 「お、おう。わかった」  壮の言うことに頷き、秀も慎重な表情になる。 「うわー、ふわっふわっ! ホントにもふもふだな!」  膝に優しくウサギが運ばれると、恐る恐るだった秀も、ビールそっちのけでウサギを撫でていた。 「ネザーランドドワーフって種類が一番近いかな。クリーム色みたいな薄いオレンジみたいなベージュで顎の下と腹は白いから、フォーンって色になるのかな」  ウサギの耳は壮の声をキャッチしているのか、耳の向きを壮の方に向けている。  秀が喋る声は聞き慣れないのか、彼が話す間は耳を澄ませるようにピンと立てていた。  そのうち、ウサギは壮を見られるように身体の向きを変え、秀の膝の上で座り直した。 「すげぇな! お前のことわかってるみてぇだな!」  秀が感心すると、壮は満更でもないように笑った。
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