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「なっ、……なにぃーっ!?」
LINEの着信内容をくまなく読み直す。
といっても、たった三文字だ。読み残しも、読み違えるはずもない。
『別れよ』
「なんで急に!?」
壮は自分が思わず声に出していたテンションとは少し変えて打った。
落ち着きを装いたかったのだ。「どんな時も俺は大人でしょ?」と訴えるために。
『なんで急に? 俺、何かやらかした?』
彼女とは、つい先週の土曜日お台場で遊んだばかりで、自分に不満があるようなそんな風に思っている様子は微塵も感じられなかった。
……と、思う。
……が、自信がなくなってくる。
『もし何かやらかしてたなら言って。悪いところは直すから』
『壮には別に不満はないけど、K大生にコクられちゃって。もう返事しちゃったし』
え? なに言ってんの、こいつ。
俺というものがありながら、K大生なんかに「告られた」ってだけで?
『壮もさ、そこそこイケメンだけどさ、その人は誰が見てもイケメンなんだよ。しかもK大生! 合コンで話弾んじゃってさ』
まあまあな大学の俺らよりもずっと頭が良くてしかもイケメン……
K大ってことはお坊ちゃん……ってことは、イケメン王子様……
「女って、結局は、白馬のハイスペック・イケメン王子様を待ってるのかよ……」
今後の就職も、進む道も提示された気がして、ショックは倍増だ。
この先も付き合うことがあったとしても、結局はハイスペック王子に奪い取られていく暗示でもあった。
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