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秀が帰った後、食べ残しを片付けると、スマートフォンを開く。
わかってはいたが、彼女からのLINEは来ていない。
そのままなんとなくネットサーフィンをする。
秀は、美少女を育成するゲームを勧めていたが、どうもその気は起こらない。
一応、勧められたアプリを探してみるが、美少女が成長していき、可愛い服などを買うと喜ばれるというもので、バーチャルでもその反応は可愛らしかった。
育成ゲーム系をスクロールして眺めていて、ふと指が止まる。
『もふもふ育成シュミレーションゲーム!』
『あなたの日常に癒しを! 何が来るかはお楽しみ。成長させると理想の姿になるよ!』
「って、理想の姿ってカノジョにでもなってくれるのかよ?」
ふっと、乾いた笑いがこぼれる。
リアルな動物イラストに目が留まる。
「絵は力入ってんなー」
ああ、猫は可愛くていいな。小学生ん時、飼ってたしな。
カーテンから差し込む光で目が覚めると、壮は床から身体を起こした。
スマートフォンがそばに落ちている。
「ああ、寝落ちしたのか」
服のままだ。床に横になっていたせいで、身体があちこち痛い。
大きく伸びをし、欠伸をしてから、ハッとなった。
そのまま、しばらく身動きも出来ずに、ラグの上にちょこんと座っているものを凝視する。
その黒いつぶらな瞳と目が合った。
「……わぁっ!」
壮の声に驚いたように、長い耳をピンと立てる。
ちょこんと座っていたベージュの小動物は、ウサギであった!
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