(1)出会いは突然に

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 秀が帰った後、食べ残しを片付けると、スマートフォンを開く。  わかってはいたが、彼女からのLINEは来ていない。  そのままなんとなくネットサーフィンをする。  秀は、美少女を育成するゲームを勧めていたが、どうもその気は起こらない。  一応、勧められたアプリを探してみるが、美少女が成長していき、可愛い服などを買うと喜ばれるというもので、バーチャルでもその反応は可愛らしかった。  育成ゲーム系をスクロールして眺めていて、ふと指が止まる。 『もふもふ育成シュミレーションゲーム!』 『あなたの日常に癒しを! 何が来るかはお楽しみ。成長させると理想の姿になるよ!』 「って、理想の姿ってカノジョにでもなってくれるのかよ?」  ふっと、乾いた笑いがこぼれる。  リアルな動物イラストに目が留まる。 「絵は力入ってんなー」  ああ、猫は可愛くていいな。小学生ん時、飼ってたしな。  カーテンから差し込む光で目が覚めると、壮は床から身体を起こした。  スマートフォンがそばに落ちている。 「ああ、寝落ちしたのか」  服のままだ。床に横になっていたせいで、身体があちこち痛い。  大きく伸びをし、欠伸をしてから、ハッとなった。  そのまま、しばらく身動きも出来ずに、ラグの上にちょこんと座っているものを凝視する。  その黒いつぶらな瞳と目が合った。 「……わぁっ!」  壮の声に驚いたように、長い耳をピンと立てる。  ちょこんと座っていたベージュの小動物は、ウサギであった!
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