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トイレには、トイレとわかるよう、フンを処理した時の臭いが付いたティッシュを網の下に忍ばせておくとウサギにもわかりやすいと、店員に教わった。
身を隠すものがないとウサギが落ち着かないだろうと思って買った木のハウスを置くと、しばらく警戒していたウサギは匂いを嗅いでいたが、そのうち、あごの下を擦り付け、丸い入り口から恐る恐る入っていった。
「とりあえず、気に入ったのかな?」
壮は安心して、その場から離れた。
「あ、レポート忘れてた!」
ブツブツ言いながら壮が座卓にかじりついていると、ピンと耳を立てたウサギが立ち上がった。
ウサギは周りをうかがい、鼻とヒゲをヒクヒクさせながら、ぴょこ、ぴょこ……と、ゆっくり壮に近づいてきた。
ふっと笑ってから、うさぎから手元に視線を戻し、壮はスマートフォンで検索しながら作業を続けた。
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